行動の学習と行動に対する責任の違い
前回は褒める事について少しお話し致しました。(少しではなかったというツッコミはお受け致しません(笑))
で、今回のちょっぴりタメになる話し、はタイトルにある通り、行動の学習と行動に対する責任の違いを軽くお話しできればと。
簡単にいうと、『犬が知らない事を人が教える事と、犬が理解している事を人が責任を持ってやらせる事は違いますよ』って事です。
犬をしつける上で、おやつやおもちゃなど色々なツールを使って犬に色々な行動を学習させる訳ですが、この先へ行く為には学習した行動に対して責任を持たせていく、という手順で進めていく必要があります。
大抵の方はなんとなく学習させる事は出来ても、犬にその責任を持たせて教えた行動を守らせる所までは中々到達出来ていません。
これは、子供をイスに座らせ飴をあげて大人しくさせる事と似ていて、何かしらの報酬を与え続けなければ求められた事が出来ない(この場合は大人しく出来ない)という困った状況を作りかねないのです。
じゃあいきなりイスに座らせて大人しく出来なければ叱れば良いのか?というのは間違いで、あくまでも経験し学習した行動に関しては責任を持たせるという意味になります。
『おやつを貰えるならやりま~す!』から『はいはい、いつものこれね!』にならないと、いつまでもおやつと犬との関係、という希薄なつながりで終わってしまうからです。
おやつの切れ目が縁の切れ目にならない為にも、物質的なつながりではなく、精神的なつながりのある、良い関係を作らなければなりません。
うちの子は賢いし、オスワリ、オイデ、オテ、マテ、全部出来ますよ。
と、言われるオーナーは多いかと思います。
では、おやつも何も持たずに教えた事を指示してみましょう!いかがでしょうか?次は家族が家に帰ってきた時は座って待てますか?インターホンが鳴った時はいかがでしょうか?外ではどうでしょう?知り合いの人に出会った時は?友達の犬に会った時は?おもちゃに夢中な時はオイデで帰ってきますか?ドッグランで遊んでいる時は?
…これが行動の責任というものになります。
何のために教えたのか、を考えれば分かり易いかと思いますが、オスワリは行儀良い出迎えや相手への尊重のため、オイデはいつでもどこでも呼ばれたら戻ってくるため、フセで落ち着いて静かにし、マテは必要な時にストップをかけたりするため、お手は足を拭く時や肉球の隙間を触れさせるため…などなど。
他にも様々な行動を教えますが、日常生活で使う為に必要な行動は特に色んな状況で出来なければ所詮『一発芸』止まりになってしまいます。
家の絨毯の上でフセが出来ても、外のアスファルトの上では出来ません…とか、楽しい内はやれるけど、つまらなくなるとやりません…など、環境の変化で行動を起こす確率が変動するようでは本当に犬をリードしているとは言わないのです。
私個人は、犬と暮らす上で人が犬をリードする事は絶対に必要な事だと考えています。
なぜなら犬と人は別の種族でありお互いに持っている文化や習慣が違うからです。
『犬は犬らしく自然のままで暮らさせる』という言葉は非常に良い意味に聞こえますが、それはあくまでも一面性でしかなく、例えば都会で暮らす犬ほど『犬らしくあればあるほど暮らし難い』とも言えます。
だからこそ人と暮らす上で必要な事を教え人間社会に適応させる必要があるのです。
そこで、フードを用いて学習の手助けやフォローをする事、リードを用いて制御する事、人の立ち位置や振る舞いや、犬の心理状態を読み取りながら必要な対処を行う事、生活環境のマネージメント(管理)からルール作りまで、人と犬とが共存するためにも人間(オーナー)がそれをリードし管理するのです。
その為には教えた行動を人が要求し、犬がそれに応じる事、が出来なければ共生する事が難しくなるのです。
ここで、行動に対する責任が求められるのです。
おやつがないとやりません、家で落ちついている時にしか出来ません、外で他の犬を見ると出来ません…このような状態を理想的な共生関係と言えるでしょうか。
やはり理想的な共生関係を築くためにも『オーナーと犬との関係作り』としてしつけを行う、これに尽きるという訳ですね。
さて、皆さんの犬との関係はいかがでしょうか?
人と犬とが歩み寄り、双方が協調性を持って、人が犬を、犬が人を受け入れる事が大切な事なんですね。
この記事の投稿者
黒木 敬史 について
ドッグトレーニング専門施設「フィールファン」代表 ドッグトレーナー。
犬の内面や行動などを理解し心理的な部分からの問題の改善、飼い主さまと愛犬とのあいだに良き信頼関係を築くことに強いこだわりを持つ。
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「行動の学習と行動に対する責任の違い」への2件のフィードバック
レオンママ
んん・・・耳が痛いです(><)・笑
ジョニー先生の指導で、オヤツもオモチャも無で何でも??出来ると思ってたんですが、
コレを読んで・・・「あっ、ピンポーン!ワンワンワン。。。ギャンギャン。。。(–:」
反省ですねぇ~。
レオンもバーディーも老犬なんで、もーいいや!って思ってし、私の言う事は絶対だ!!!
なーんで高Bーになってた自分がチト恥ずかしい(^^:
お互い生活&生きて行く限り、永遠のテーマだと思いました。。。
流石です。言ってる意味・どーして行くべきか、よく理解できます(^^v
(チョット長いけど・笑)
ありがとう~ございました。。。m(-.-)m
byレオン&バーディー母
黒木敬史
コメントありがとうございます!(^^)!
気を付けてはいるのですがつい長々と書いてしまいました(~_~;)
最後まで読んで頂き、お疲れさまでした(笑)
今回の内容、これって意外と混同してしまう事だと思うのですが、教える事と、守らせる事ってやっぱり別物です。
そういう意味ではレオン&バーディー母さんは上手に責任を持たせられる方だと思いますよ(^.^)
恐怖でも力でもなく、自然と彼らをリードする力をお持ちです。
何をどこまで守らせるべきかは生活している環境にもよると思いますが、良い方向へと導いてあげる事が出来る人こそほんとのリーダーです。
これからもみんなを上手に導いて、楽しい日々を送って下さいね(^^)/
コメントを励みに、たまにまた濃ゆーいの書きますね!
ぜひ懲りずにお読みになって下さーい!(笑)